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2017-02-19

人生がゲームなら 「ジョーカー・ゲーム」 ブックレビュー


彼らにとって、すべてはゲームにすぎない

命をかけてスパイをする。国のためでもない。お金のためでもない。
では、何のためにそんな危険なことをするのか?
それは、スパイがおもしろいゲームだから。

D機関

柳広司著「ジョーカー・ゲーム」に出てくる日本のスパイ組織、D機関に所属する登場人物たちは、みんな優秀なスパイです。頭脳明晰ですから、どんな職業に就いても出世できるでしょう。そんな優秀な若者たちが、なぜ危険なスパイというゲームに命をかけるのか。

ジョーカー・ゲームとは

題名のジョーカー・ゲームというのは、D機関のスパイたちが遊んでいるゲームの名前です。
ポーカーをしているのですが、それは表向きの世界です。裏では、情報戦が繰り広げられています。誰が味方で誰が敵なのか分からない。なにが真実の情報でなにが偽の情報かもわからない。信じられるのは自分だけ。ですが、一人ではこのジョーカー・ゲームに勝つことはできない。敵と味方を判別し、真実の情報を知り、偽の情報を利用する。そういう、複雑な駆け引きを楽しんでいます。

そんなゲームには参加したくない

そんな複雑でむずかしく、騙し合うようなゲームには参加したくないな、と思いました。
しかし、この物語を読み進めていくうちに、あることに気づいたのです。

これは、物語ではなく現実ではないのか

私たちが暮らしている社会も、ジョーカー・ゲームなのではないのか。
友人関係や仕事関係、SNSなどのネットでのコミュニケーション、そして、家族との関係もジョーカー・ゲームです。味方だと思っていた人が敵だったり、真実だと思っていたことが嘘だったりします。信じられるのは自分だけです。

人生はゲーム

人間社会で生活するということは、ゲームなのではないか。では、わたしたちが、なんのためにこのゲームに参加しているのか。お金のため?国のため?家族のため?名誉のため?
たいした理由なんてありません。この世に生まれてきたら、強制的にジョーカー・ゲームに参加させられているのです。誰も信じず、誰も味方につけることができなければ、人生というゲームで負け続けるしかない。勝ちたいのなら社会のルールを知らなければならない。誰が味方なのか自分で判断しなくちゃならない。真実か嘘かも自分で見抜くしかない。

自分自身かもしれない

有能なのに、どこか哀れで寂しいスパイたち。それは、私たち自身の姿だったのです。
そんなことを思った物語でした。

この小説は

ジョーカー・ゲームは何年か前に亀梨くん主演で映画になりました。映画も見たのですが、なかなかおもしろかったです。ですが、原作の方はもっと奥が深く、緻密に組み立てられていて、上質なストーリーの連続です。
「ジョーカー・ゲーム」「ダブル・ジョーカー」「パラダイス・ロスト」「ラスト・ワルツ」へと続く連作です。
まだ読んでいない方は、読むことを強くお勧めします。

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