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2016-11-15

小説「仏果を得ず」を読んで、文楽を知る


「仏果を得ず」三浦しをん

文楽の世界を描いた小説です。
大夫の建(たける)と三味線の兎一郎(といちろう)のコンビが主人公です。
三浦しをんと言えば、「まほろ駅前多田便利軒」や「風が強く吹いている」など、男同士の友情を描いた作品が多いですよね。それも、ベタベタした友情ではなく、ドライな友情もの。
この小説も、そんな感じの男同士のドライな友情物語です。
そして、今回は文楽の世界が描かれています。
わたしは文楽を観たことがありません。文楽というと、伝統芸能で高尚なものだというイメージがありました。大夫や三味線を弾く方たちも、人間国宝になるようは方々なので、それはそれは立派な人たちなんだろうとイメージしていました。
ですか、この物語に出てくる登場人物たちは、みんな普通の人たちです。普通の人より、もっと俗物的です。
建はひょんな事情から、ラブホテルの一室に住み着いてます。文楽を教えるために、近くの小学校に行っているのですが、そこで生徒の母親と知り合い、ラブホテルで情事をしたりしてます。
建の師匠は、愛人と旅行に行ってトラブルになったりしてます。
なんとも俗物的な登場人物です。
ですか、その俗世間での経験が、すべて文楽作品を演じる糧になっているんです。
建は、ふだんの生活の中での、低俗で人間臭い体験から、文楽の登場人物たちの感情を理解していきます。
三浦しをんは、文楽は高尚なものではなく、俗世界を描いたものなんだよということを言いたかったのだと思います。
なにも、難しく考えないでいいから、一度観においでよと言いたいのでしょう。
人情があって温かく、楽しく読める小説でした。
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